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熊谷市文化財日記アネックス

歴史 地域

聖天堂関連事業 ―絵馬展・国宝5周年―

妻沼聖天山本殿「歓喜院聖天堂」が平成24年7月に県内建造物で初めて国宝に指定されてから5周年を記念して、妻沼聖天山に寄進された絵馬や奉納額を一堂に集めた特別展「妻沼聖天山の絵馬展」を妻沼展示館で開催しました(7月~8月)。

聖天山は関東一円から広く民衆の信仰を集め、江戸後期から昭和にかけて様々な内容の絵馬や額が奉納されました。これら約50枚は聖天堂の内外に掲出されていましたが、平成15年からの平成の保存修理工事の際に外されて境内に保管され、非公開でした。
同展の絵馬には「韓信の股くぐり」「川中島合戦」「七福神」など中国や日本の故事などを題材に色彩豊かに描いたものが多く、明治期の女流画家・奥原晴湖が記した「鶏羅山」や、幕末期から明治期に活躍した政治家・思想家の山岡鉄舟が明治14年(1881年)に納めた書の額「歓喜天」などがあります。柔術流派を興した小沼直吉を顕彰する「武芸」は同展内で最大規模を誇り、千人を超える寄進者名を連ねています。明治時代の聖天山を描いた複数の大絵馬は歴史資料の価値を併せ持ちます。
熊谷市教育委員会は本年五月以降、絵馬と奉納額を妻沼展示館に移し、調査と保存作業を進めてきました。その結果、絵馬と奉納額の額縁に施された精巧な彫刻の多くが国宝に指定された本殿彫刻を担当した上野国花輪村(現群馬県みどり市)の彫物師集団の流れをくむ彫物師の作品であることが分かりました。また、半数近くの額は群馬県の人々が奉納していたことも確認されました。
7月29日には同会場にて、特別観覧会として、解説会とヴァイオリンとピアノによる演奏会「祈りの響き」が開催され好評を得ました。
また、8月にはニュージーランド・インバーカーギル市国際視察団が同会場を訪れました。
会期全体で約1600名の入場者がありました。

■江南文化財センター

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住所 熊谷市千代329番地
開館時間 午前9時~午後5時
休館日 土曜日・日曜日・祝日・年末年始
お問合せ 048-536-5062(熊谷市立江南文化財センター)

作成日:2018/05/18 取材記者:江南文化財センター