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妻沼聖天山界隈

歴史 地域

追補編第2回 妻沼聖天山を取り巻く景観まちづくりプラン

聖天山中門前(2018年6月3日撮影 結婚式を挙げたカップルに出会う)

妻沼聖天山を取り巻く、埼玉県と熊谷市の計画などを整理してみましょう。
埼玉県は平成23年に「歴史のみち景観モデル地区」として、吾野宿(飯能市)・深谷宿(深谷市)・妻沼地区(熊谷市 聖天山周辺)の3地区を指定しました。現在は8地区が指定されました。
同時期に熊谷市は、平成22年熊谷市景観条例を施行し、聖天山周辺地区を景観誘導地区に指定し、平成23年度から「聖天山周辺地区景観形成事業」をスタートさせ、平成26年3月には「聖天山周辺地区にふさわしい門前町景観まちづくりプラン」(景観まちづくりプランと略します)を策定しました。
更に、埼玉県北部地域振興センターにより、平成26年3月に「縁結びのまちめぬま地域ブランド戦略実戦プラン」が策定されました。
今回の《「めぬま」における観光の要望について》(要望書と略します)は、上記の計画や事業に密接に絡み合っています。
第2回は、埼玉県と熊谷市の計画を整理しながら、聖天山の景観の課題を取り上げてみました。

>>要望事項「妻沼聖天山に調和した景観並びに環境の整備」PDFデータはこちらからどうぞ。

■聖天山とその周辺地区とは?

県道太田熊谷線
(2018年4月21日撮影 妻沼手づくり市)

まず、確認しておかなければならいことは、「聖天山周辺地区」と表現されている場合、当然聖天山境内を含めた周辺地区と受け止め、境内の景観整備と周辺地区の景観整備が一体的に計画されているものと、地区住民は思っていたことでしょう。
ところが、計画に示されている内容は、境内に触れず、周りの道路や街並みが対象の内容になっています。

■要望事項「妻沼聖天山に調和した景観並びに環境の整備」

聖天山境内工事用フェンス
(2018年5月26日撮影)

第1回で紹介しました「妻沼中心市街地活性化計画(2005年)」には、既に、聖天山境内の景観整備を掲げていました。また、今回の要望書も要望事項の第一に取り上げ、境内の景観上の課題解決を掲げています。
全文はPDFを参照してください
景観に関わる具体的項目の①点在する看板の整理、②工作物の色彩等の配慮、③ブルーシートに覆われた残骸の始末、④平和の塔、お祭り広場、遊園地、池の景観整備などは、景観まちづくりプラン策定の事前アンケート調査の自由意見でも指摘され、改善が求められていました。
しかし、景観まちづくりプランは、その課題に触れていませんでした。

■聖天山の景観上の課題

古い絵図
(県道羽生妻沼線と市道1088号線が
平行して描かれ、芝川で合流)

来年聖天山は、開創840年記念の御開帳の年です。
現在は高野山真言宗の寺院ですが、八百数十年間、妻沼地域を越えて信仰を集め、特に、聖天山、大我井神社、歓喜院を取り囲む地域社会は、共に歩んできました。塀や石垣で境内地との境を作らず、一体となった門前町が形成され、住民もそれが当然と受け止めてきたことでしょう。古い絵図などでは境内地に住宅が立ち並ぶ様子が描かれています。

市道1088号線
(2018年6月3日撮影)

また、聖天山境内を南北に抜ける市道1088号線(交差する県道の南の路線は1120号線)は、街道として歴史を刻んできました。県道太田熊谷線は、新田街道(新田岩松家の江戸往復に使われた街道)といわれていました。その街道の裏街道として利用され、境内を取り囲むように流れる芝川手前で2つの街道は一緒になったのでしょう。現在の芝川にかかる「布橋」には、源頼朝が、武蔵国入間郡で鳥追いの後、下野国那須に向かう途中、当地を通り、利根川を渡河するために舟橋を設けて、その上に布を敷いて通行したとの伝説から付けられたといわれています。
要望書の項目に「四方からの出入りを制限して、正門である国指定重要文化財「貴惣門」を起点とした導線計画を策定する」とあり、確かにその点は頷けますが、地域と一体となって歴史を刻んできたことを考えると、出入り口の制限は検討課題であると思います。
門前町は寺社との境界を高くしては、成立しないのではないでしょうか。

■景観まちづくりプランの策定経過と内容

将来図(景観まちづくりプランより)

埼玉県と熊谷市が歩調を揃えて、聖天山周辺地区の景観まちづくりが動き出しました。
平成23年7月熊谷市景観審議会で「妻沼聖天山周辺地域における良好な景観形成に関する施策を推進する上で必要な事項」が提言されました。
平成23年8月に埼玉県「歴史のみち景観モデル地区」として指定されました。
これより計画づくりや事業が始まりました。
景観まちづくりプランの策定までの間、アンケート調査・講演会・ワークショップ・先進市視察等々が行われ、平成26年3月景観まちづくりプランが策定されました。

県道羽生妻沼線のLED街路灯

計画の目玉として位置付けられた「県道羽生妻沼線」(聖天山境内南側を走る県道)の整備事業が動き出しました。計画が策定されると同時に事業が動き出すのは、素晴らしいことで、埼玉県のやる気に驚きました。
次に聖天山と歓喜院本坊を結ぶ「市道1135号」の整備です。埼玉県のやる気に刺激された熊谷市も早急に着手することでしょう。

県道羽生妻沼線手押し信号脇花壇
(2018年5月26日撮影)

計画に示されたもう一つの県道太田熊谷線整備に、期待をしたいですね。
計画の整備方針は4柱。上記道路3本。4つ目が「路地や水辺を生かしたお散歩軸の整備」です。
熊谷市都市計画課に景観まちづくりプランの現況を問合せしたところ、平成24年度から28年度までの事業費は、約670万円でした。
事業は継続していて平成29年度は、ワークショップ(平成29年10月14日県道羽生妻沼線手押し信号脇花壇の整備)、まち歩き、市道1135号線の測量。30年度はニュースレターの発行ということでした。
ただ、残念なのは、市道1088・1120号線が忘れられていることです。聖天山の景観上の課題でも指摘したとおり、まさに歴史の道なのです。
(詳しくは、詳細情報欄の熊谷市ホームページを参照してください)

■埼玉県「歴史のみち景観モデル地区」の施策

「歴史のみち景観モデル地区」とは?
埼玉県の趣旨は、次のとおりです。難しい表現です。
《県内の旧街道や旧宿場町、城下町などの歴史的拠点や軸を明確にし、埋もれている歴史的資源を発掘し、保全・活用する「歴史のみち広域景観プロジェクト」に平成22年度から取り組む》
との趣旨で、平成23年度に吾野宿(飯能市)・深谷宿(深谷市)と一緒に妻沼地区(熊谷市 聖天山周辺)が指定されたのです。
埼玉県は、施策の周知を図るための事業を、指定と同時に始めました。
講演会や当該地区のまち歩き事業が実施されました。
 (詳細情報の関連記事を参照してください)

■埼玉県「縁結びのまちめぬま地域ブランド戦略実戦プラン」

「熊谷・太田」周遊ツアー開催時スナップ
(25年10月6日埼玉県HPより)

埼玉県北部地域振興センターは、「縁結びのまちめぬま地域ブランド戦略実戦プラン」を26年3月に策定しています。
策定の背景は、妻沼聖天山の国宝指定により、まちが注目を集め埼玉県内外から多くの参拝者が訪れる中、商店街の空洞化や核となる地域ブランドがないために、地域への波及効果が十分でないとの危機意識の下に、策定が進められたようです。
平成25年度事業として実施。計画は3本の柱を立てています。
①景観ある街並みづくり(景観まちづくりプランに委ねている)
②来訪の動機付けとなる商品開発と地域サービスの企画(これが目玉かな)
③広域的な連携による魅力の発信。
3本目は、利根川をはさんだ群馬県市町との連携を掲げています。これは非常に関心が惹きつけらることで、今後の事業に期待したいと思いますが、先日、北部地域振興センターを訪ねると、計画は過去のものになっているように感じました。写真はその時の事業で実施した「熊谷・太田」周遊ツアーのスナップの1枚です(埼玉県ホームページの写真を利用しました)。
要望書では、『渡し船「千代田丸」の観光船としての新たな船出』のタイトルで取り上げていますので、これは後ほど紹介します。
(詳細情報の関連記事を参照してください)

■編集後記

県も市も聖天山とその周辺に関心を持っていただき、計画や事業がいくつも繰り出されたことは嬉しいことです。ただ、受け皿は一つ。計画策定などに関わった地域住民は、どこまで理解していたのか不安です。地域住民である私も上記の施策を十分理解していませんでした。
地域の皆さんは、県道羽生妻沼線歩道整備事業と聖天山参道石畳改修事業を目の当たりにして、来年の御開帳のための事業と思っているかもしれません。
折角の景観プランですが、道路整備事業が前面に出ていることで、妻沼聖天山とその周辺の良好な景観づくりが隠れてしまっているようです。
また、聖天山とその周辺地域の歴史的背景が十分に配慮されていると思えず、特に、境内を南北に抜ける市道1088・1120号線の歴史的重要性が見過ごされたことは残念です。
計画書の最後には、必ず、「PDCAサイクル」ということが書かれています。
Pは計画策定、Dは計画の実施、Cは事業の評価のチェック、Aは計画の改善であると述べられています。
是非、「PDCAサイクル」を忘れないで欲しいと思います。

■第2回景観まちづくり詳細情報

関連情報 熊谷市HP 熊谷市都市計画課「聖天山周辺地区景観形成事業」
※トップページで「聖天山周辺地区景観形成事業」を検索してください。
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埼玉県ホームページ 埼玉県田園都市づくり課「歴史のみち景観モデル地区」
埼玉県ホームページ「縁結びのまちめぬま地域ブランド戦略実戦プラン」
要望内容に関する問い合せ先 問い合せ窓口 高際 康司
電話 090-8313-9520
〒360-0201熊谷市妻沼1380-5 にお願いします。

作成日:2018/06/22 取材記者:m.hemmi