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R407/R293 往来記

~2020年迄掲載 歴史 地域

第1回 出流原弁天池周辺

出流原弁天池と佐野いもフライ

長年の夢であった中山間地域に民家を取得し、2017年9月から片付けや補修のために行き来してきました。現在の居住地熊谷市妻沼から35キロほどの距離ですから、行き来するのも車で1時間強です。苦になる時間ではありません。
目的地は佐野市の北域で、旧田沼町の中山間の集落(標高約150m)にあり、熊谷市に合併した妻沼町と市域における位置や人口規模などは似通っています。
通勤ではないので、コース変更も寄り道も好き放題なところから、足利、佐野を中心に接した地域の歴史や食文化などを気ままに取り上げて見ようと考えました。
往復するルートを代表する国道2つの名を冠したタイトルは、取材する範囲や内容を限定せずに、何でも取り上げられるようにとの安直な発想で決めました。
どうぞよろしくお願いいたします。

■磯山弁財天と出流原弁天池

田圃地帯からの磯山弁財天の社殿

足利市街地を抜け、北関東自動車道足利インターチェンジ入口脇を過ぎて、樺崎地域に入ります。足利源氏の発祥の地で「樺崎八幡宮」など見所がありますが、それは次の機会にして立ち寄らずに進み、足利と佐野をつなぐ「越床トンネル」を抜けると佐野市に入ります。
すぐに出流原の平坦地が広がり、その奥の小山の中ほどに、はめ込まれたように朱色に彩られたやぐら状の社殿が目を惹きます。

出流原弁天池

磯山弁財天です。藤原秀郷が勧請したという1000年以上も信仰されてきた弁財天で、社殿は京都清水寺同じ懸け造りによるもので社寺建築物としても貴重なものです。
国道293号出流原交差点の右に佐野らーめんの有名店を見て、交差点を左折し、曲がりくねった細い道路を進むと磯山弁財天の山門に至ります。山門脇の狭い駐車場に車を止めます。
出流原弁天池はすぐ隣。
もともと磯山弁財天は、池の小島に建っていたと言われています。
磯山という名は、池の小島という意味でしょうか。しかし、弁財天が山の上に祀られているのも珍しいですね。

白蛇のお出迎え

噂のとおり、池の水の透明度は高く、泳ぐ鯉の姿や池底の様子が見て取れます。
池の脇の茶店でいっぷく。佐野名物いもフライを食べながら、静かな池畔を楽しんでいましたら、突然音楽が流れてきました。
店の人に尋ねると四阿を借りてミニ演奏会をやっているとのこと。
演歌のメロディーと名水といもフライとなると銘酒となりますが、銘酒は後の楽しみにしましょう。

懸け造りの特徴

さて、磯山弁財天の参拝です。山の中腹の社殿まではきつい石段が続きます。
水神の白蛇のどくろを巻いた姿に出迎えられます。蛇は不得意で、おそらく山荘も蛇に出向えられるかなあと思いつつ、石段を一歩一歩。途中3度休憩。
清水の舞台同様で、懸け造りの特徴の眺望の良さは、是非一度参拝されることをお勧めします。
古くは江戸の火事が見えたとの言い伝えもあります。

■赤見温泉ホテル一乃館

ホテル一乃館正面

創業者が出流原弁天池に魅せられて大正時代に始めたという老舗旅館。こちらで尋ねれば一番と、ホテルのフロントの女性に質問攻めしました。むさくるしい年寄りに、優しく微笑んでの受け答えにすっかり感動。
ホテル内は大正・昭和の美術、民芸品が展示され、館内はギャラリーそのもの。是非、宿泊してゆっくり館内を見て回りたいと思いました。

このホテルは磯山弁財天の護持会の中心になっていますが、やはり古い資料などは保存されていないようで、弁財天を管理している寺(密蔵院)を紹介されました。また、佐野市の文化財に指定されていないのは、ちょっと不思議。

■佐野いもフライと佐野らーめん

福寿荘売店

・佐野いもフライ 「福寿荘売店」
いもフライは串カツ風。B級グルメでも人気。両毛地域の絹織物工場の女工相手に行商人が売り歩いたものといわれています。桐生、足利、佐野には絹織物と女工の物語が残され、悲しいものが多いなかで、休憩時間にいもフライを食べながら談笑する姿を想像するのは心が和みます。

おぐら屋のラーメンと餃子

佐野らーめん「おぐら屋」
通るたびに駐車場の様子を見て、混雑度を確かめています。まず、昼食時間は一杯。待つ人の行列。
何度か訪れて、その混雑ぶりに降参。
食事時間帯を外して、午後4時に入店し、ようやく食べることができました。
ラーメンと餃子を注文。
ラーメンの麺の量が多く、餃子は大きめなので年寄りには、無理なセットでした。麺を残してしまい、ごめんなさい。

■編集後記

磯山弁財天については、不明な部分が多く、佐野市文化財課でも、懸け造り社殿は貴重なものであるが、社寺建築物としての調査も行われいていない、文化財指定はされていないということ。
管理している密蔵院は、真言宗豊山派の寺院で、住職にお話が聞けました。
磯山弁財天は無住であったので、管理を引き受けたのは最近のこと。歴史的資料はない。建物の護持は信仰されている関係者によって行われている。公的な補助は受けていない。佐野市の調査等の問い合わせもない。
貴重な歴史的建造物なのに、関心が持たれていないのは残念と住職。私もと同様な気持ちでした。
 
1回目なので、ちょっと張り切り過ぎて数回分の内容になってしまいました。

■第1回 出流原弁天池周辺の詳細情報

出流原弁天池と湧水 佐野市出流原町1117
栃木県指定天然記念物。池の水源は環境省選定の名水百選の1つ。
年間を通じて水温は16℃、日量2400㎥の湧水量。
磯山弁財天 佐野市出流原町2135
藤原秀郷が948年に勧請し、本殿は鎌倉時代に建造されたと伝わる。
ホテル一乃館 佐野市出流原町1262
大正9年創業。名水を使用した湯、料理。館内は美術品、民芸品多数陳列。庭園も見事。
ホテル一乃館 HPはこちらからどうぞ。
福寿荘売店  佐野市出流原町1264
いもフライや駄菓子もあり、店内にはテーブル席もある。
おぐら屋 佐野市出流原町993-1
佐野らーめんを代表するお店の一つ。名水出流原弁財池湧水を使用している.

作成日:2018/04/11 取材記者:風神雷神荘主人