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涙 |
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Aさんは病院で定期的に検査を受けていて、今回異常が見つかった。すぐに手術の必要があるが、その病院には専門の医師がいない。担当医の紹介を受けて、遠方の大きな病院へ入院することになった。Aさんにはひとり息子がいるが、仕事の都合で入院に付き添うことができない。そこで事業所が依頼を受けて、私がAさんの入院に付き添った。 |
| ふだんはもの静かなAさんだが、病院へ向かう車中、家族のことや若い頃のことなどいろいろな話をしてくれた。途中、Aさんのバッグの中の携帯が鳴った。母を案じた息子からの電話だった。「お母さんは大丈夫だから。今、介護の人と病院へ向かっているから…。あなたこそ気をつけて…」息子は九州へ向かって、大型トラックを走らせているという。一日休むと大きな損失を会社に与えてしまうので休めないのだという。 |
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その日、帰宅途上車を運転しながら、無性に悲しくて涙が出た。老いや病や障害を負った人々との出会い。私たちは、利用者とある程度の距離を置いて感情移入し過ぎないように努めている。その時は全力を尽くすが、玄関を出たら、その人のことは忘れるようにしている。そうでないと、介護者である自分の精神が持たない。 |
| だが、図らずも、一人一人の利用者の人生を深く見つめることになってしまい、時として堪えていたものが堰を切ったように溢れ出す。ある時は人が愛しくて、ある時は生きることが哀しくて、ある時は自分たちの介護が報われず虚しくて、涙を流す。 |
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一年間、介護の現場からの体験などを発信してきましたが、今回を持って終了させて頂きます。守秘義務がある関係で、事実を曖昧にしか表現できず、発信することの難しさを感じ続けてきました。目を通してくださった皆さん、ありがとうございました。 |
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