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今回の知恵 熊谷人物伝

第154回
医師 西田 雄さん(にしだ ゆう)
2013年8月30日更新


 今回ご紹介するのは、介護老人保健施設ぬくもり・施設長であり、医師の西田雄さんです。


熊谷人物伝
西田雄医師
<プロフィール>
1960年 浦和に生まれる。父の仕事の都合で、熊谷に引越す。
1979年 熊谷高校卒業
1986年 東京慈恵会医科大学卒業
1998年 東急病院整形外科勤務
2000年 埼玉慈恵病院勤務
2004年 老人保健施設ぬくもり施設長
2006年 西熊谷病院勤務
2008年 老人保健施設プリムローズ施設長
      西田クリニック非常勤医師
2012年 老人保健施設ぬくもり施設長
2013年 西田リハデイサービス設立
…………………………………………………………………………………………………………………
 ・ 医学博士
 ・ 日本消化器内視鏡学会 認定 専門医
 ・ 日本医業経営コンサルタント協会 認定コンサルタント


<医師を目指したきっかけ>
 中学時代に図書館でフロイトの『精神分析入門』に出会い、心理学に興味を持ったことがきっかけです。
 実は、高校時代は心理学を学ぶために、文科系の大学を目指していました。しかし、父から「心理学という学問も良いが、人を見るなら精神科の方が深く学べるだろう。」と、そそのかされ医学部を目指すことになりました。
 父も外科医ですが、もともとは精神医療に興味があったそうです。医学部6年の時に臨床実習で様々な科を回り、精神科より外科に魅了され、卒業時には同級生の誰もが予想しなかった外科学講座を希望していました。 

<外科や整形外科、精神科と多くの診療科を学ばれた理由>
 救急医療でより正確に診断をつけたいという気持ちから、整形外科を学びました。
 外科というと皆さんは、整形外科もできると思われていますが、外科は主に柔らかい内臓を扱う科です。
 食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がんなどがその一例です。 
 整形外科では主に筋・骨格系を扱います。例えば骨折、膝や肩などの関節疾患など硬い部分ですね。
 事故の患者さんが来た時に、外科だけだとレントゲンで骨折があるかどうか、わからないことがあるのです。
 熊谷人物伝
 骨折と言ってもポッキリ折れているだけでなく、いわゆるヒビだけのときには診断が難しいことがあります。
 東急病院の整形外科に勤務したのが38歳の時で、整形外科と外科では扱う臓器もかなり違うため大変戸惑い、とても苦労しました。
 次に精神科ですが、最初に書いたように心理学に興味があったこと、老人保健施設の施設長を経験した時に、認知症高齢者のケアがなかなかうまくいかずに非常に悩んだからです。
 西熊谷病院の医局の先生方にご教授いただき、いろいろなことを教えていただきました。

<どのような医療を目指していらっしゃいますか>
 ひとり一人の患者さんを全科的な視点で診る、つまり内科、外科、整形外科などの一分野ではなく、総合的な視点で診ていくことを目指しています。
 西田クリニック院長である兄も、専門の脳神経外科はもちろん、総合診療を行える医師です。さらに東洋医学にも造詣が深く、西洋医学に漢方薬を併用しながら治療を行っています。兄の診療は見ていて、大変勉強になります。

<『苦しくない内視鏡』を目指していらっしゃいますが、
             従来と異なる点はどんなところですか>
 いわゆる胃カメラですが、従来のやり方と特に変わりはありません。ノドだけの麻酔でも検査はできますが、内視鏡検査が初めてで不安が強い方、以前やって苦しかった方には軽い鎮静薬を併用して行い、楽に検査が受けられるようにしています。
 スコープの挿入時、ノドを通過させるときの右手の微妙な力加減や、わずかに左手で方向を調整するのは、昔バイオリンをやって
 熊谷人物伝
いたのが役に立っていると思います。
 また、検査中も空気の入れ方や、吸引のやり方も患者さんのお腹に負担がかからないような配慮をしています。
 ただし、私の敵は『がん』だと思っていますので、常にがんがどこかに潜んでいるに違いないと思いながら、3〜5分間の検査時間で同じ場所を違う方向から観察し、疑わしいときには接近 ・ 凝視して脳内にある画像と照らし合わせて見落としていないか慎重に判断するようにしています。
 今でも学術誌に掲載される、「診断が難しかった症例」の画像にはなるべく目を通すように心掛けています。
 『経鼻内視鏡』は、まだ西田クリニックでは行っていませんが、来年には開始する予定です。「介護老人保健施設ぬくもり」の施設長、西田リハデイサービス設立、クリニック勤務と多忙を極めているため、器具、機材等を含め準備に少し時間がかかっています。

介護老人保健施設 ぬくもり   HP
熊谷人物伝  「ぬくもり」は平成15年10月に開所した、介護老人保健施設です。母体は埼玉慈恵病院です。初代施設長が私で、開所から2年半在籍していました。当時は様々な問題が山積していましたが、熱気とやる気だけは十分ありました。
 諸事情で昨年9月から、6年ぶりに1年間の期間限定で施設長をしています。当時に比べて現在は、職員数も増え、すっかり穏やかな施設として運営されています。
 これから「ぬくもり」では、老健の役割の一つでもある在宅復帰支援を積極的に行っていこうとしています。今までやってこなかったことがたくさんあり、四苦八苦していますが、新事務長を中心に少しずつスタッフも動き始めています。

西田リハデイサービス        HP
熊谷人物伝  通所リハビリをデイケア、通所介護をデイサービスと言います。老人保健施設は本来リハビリを中心としたデイケアを行うはずですが、多くの施設でデイサービスと内容がほとんど変わらないことを、私は以前から懸念していました。
 東京の老健でも、リハビリの職員が20分間関わる以外に、内容はデイサービスとほとんど変わりませんでした。そこで、デイケアとデイサービスの違いを明確にしようと考え、リハビリ重視の老健に衣替えをしました。
 それからすぐに利用者数がグッと増え、特に男性の利用者が増えました。この時、男性でリハビリを望んでいる方々がたくさんいると確信しました。そこで、デイサービスでもデイケア以上のリハビリを提供することができるはずだという考えから、リハビリ特化型のデイサービスとして西田リハデイサービスが誕生したのです。

 ・くまがやねっと・千客万来コーナーにて『西田リハデイサービス』をご紹介しています。

<今後の活動や目標>
 病院での急性期リハビリを終えた方が、引き続きもっと機能向上や維持ができるように、西田リハデイサービスをご利用していただきたいと思っています。
 65歳未満の方でも、16種類の特定疾病にあてはまりさえすれば介護保険が利用できます。また、西田クリニック前という理想的なロケーションなので、広く医療と介護の連携を行いたいと思っています。熊谷には良い医療機関がいくつもありますので、私がつなぎ役として多くの医療機関と連携す
 熊谷人物伝
れば、急性期から慢性期まで円滑にリハビリが行われるようになるのではないかと思います。呼吸器・循環器・脳血管・整形外科疾患の急性期・維持期・慢性期のリハビリはもちろん、外科疾患の術後のリハビリも西田リハデイサービスでは行っていきたいと思っています。さらに、要介護にならないような予防リハビリも積極的に行い、将来的には企業とのコラボレーションも考えています。 

<医師を目指す方へ一言>
 近年は医療・福祉系への関心度が高く、医学部受験も私の時代よりずっと難しくなっていると聞いています。しかし、入学後の6年間の医学教育、医師国家試験の方がもっと大変ですし、国家試験に合格してやっと医師へのスタートが切れるのです。卒業後も日進月歩の医学情報は逐一チェックが必要ですし、死ぬまで勉強から離れることはできません。他の友人たちが遊んでいる時にも勉強しなければなりませんし、犠牲にしなければならないことも多くあります。それを乗り切るには、すべて「志」があるかどうかで決まると思います。しっかりとした気持ちを持ち続けられないと、厳しい世界なので挫折してしまうこともあります。逆に「志」があれば、どんな試練にも立ち向かっていけると思います。しっかりとした意識をもって医学の道に入って来て欲しいと思っています。



取材日:2013年6月28日/取材記者:なべさん
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