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熊谷市文化財日記アネックス

歴史 地域

空から見た遺跡① 男沼・飯塚北遺跡

空から地上を見るためには、鳥のように飛び回りたいところですが、翼を持たない私たちには、航空写真を眺めることが安全です。航空写真からは意外と多くの情報が得られます。
空からみた熊谷の歴史を考えます。男沼地区には西から東に大きく蛇行する地割が明瞭です(昭和35年撮影写真)。これは、100m近い幅を持つことから利根川の本流跡と思われます。本流と数本の支流を擁する大河であった利根川は、古代から中世期には妻沼台を巡って八ツ口方向へ流下していました。渡河の方法は船運に頼らざるを得ず、川辺には「津」と呼ぶ港湾施設が造られました。熊谷市域の南北には「東山道武蔵路」と呼ぶ主要道が通行し、妻沼付近は上野国への渡河点に当たり、現在でも交通の要衝です。
妻沼工業団地の発掘調査で明らかになった「飯塚北遺跡」は、その流路の屈曲部(湾戸と呼び船着き場や船溜まりの適地になる)に位置し、物資を収納する多数の倉庫跡や行旅の人々を潤した大井戸跡が見つかっています。遺跡は港湾施設の性格を持ち、後に有力豪族の拠点と考えられる方形の館跡が構えられていました。(新井)

【参考資料】「妻沼・飯塚北遺跡について」『熊谷市史研究』5号

■江南文化財センター

参考資料ホームページ 江南文化センター「熊谷デジタルミュージアム」へはこちらからどうぞ。
住所 熊谷市千代329番地
開館時間 午前9時~午後5時
休館日 土曜日・日曜日・祝日・年末年始
お問合せ 048-536-5062(熊谷市立江南文化財センター)

作成日:2018/10/22 取材記者:江南文化財センター