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熊谷市文化財日記アネックス

歴史 地域

寺内廃寺の遺物整理から-1 花を飾る器

寺内廃寺にかかわる出土遺物整理の状況のその後をいくつか取り上げます。
今回初めて紹介する報告もありますので、ぜひご覧ください。

「多口瓶」又「多嘴瓶」とも呼ぶ壺形陶器は、一個の長頸壺の肩に複数個の口頸部を取り付けたもので、その数は4~5個の例が多く、花を生ける花器とされ、寺に特有の器具とされ窯跡などの生産跡以外では仏堂跡から発見されます。
官大寺と呼ばれる国家直轄の寺院では緑釉陶器や三彩陶器で作られた高価な花器も出土していますが、地方の寺院では美濃で造られた灰釉陶器や地元産の須恵器などが多く使われたようです。
寺内廃寺金堂から出土した多嘴瓶は灰釉陶器が使用されており、細片から復元すると図や写真のような姿となります。現在でも仏前に花を供えますが、寺内廃寺の場合、仏像の破片から推定される如来と観音に手向けられたと想定しています。
参考に、奈良市「薬師寺」は奈良二彩、宇治市大鳳寺跡は灰釉陶器、日高市高岡廃寺は須恵器の多嘴瓶の出土が知られます。

(新)

■江南文化財センター

住所 熊谷市千代329番地
開館時間 午前9時~午後5時
休館日 土曜日・日曜日・祝日・年末年始
お問い合わせ 048-536-5062(熊谷市立江南文化財センター)
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作成日:2024/06/18 取材記者:江南文化財センター