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熊谷・軽井沢・プラハ

地域 歴史 ~2023年迄掲載

第15回 星川ルネッサンス「星川彫刻プロムナード研究会」の発足

発足記念に刊行した彫刻解説資料

熊谷市の市街地を流れる星川には7つの広場があり、一番上流にある「いこいの広場」には北村西望「戦災者慰霊の女神」が昭和50年(1975)、戦災30周年に建立された。熊谷駅前に建立された北村西望「熊谷次郎直実像」とともに、星川を印象付ける彫刻通り(プロムナード)として文化芸術の顕彰を進めてきた。
昭和56年(1981)春に「星川に水と緑と芸術を、そしてメルヘンの道に」との願いで熊谷青年会議所などが発案し、市による彫刻像設置事業が決定した。以降、星川彫刻プロムナードが徐々に具現化されることになった。昭和57年(1982)、「太陽の広場」に桜井祐一「レダ」と「緑の広場」に千野茂「やすらぎ」の作品が設置され、大きな注目を集めた。
本年、「戦災者慰霊の女神」の建立から45年を経過し、星川彫刻プロムナードの継承が新たな課題となっている。この度、令和2年12月1日、星川彫刻プロムナード研究会を発足し、彫刻芸術を活かした中心地活性化や、戦災者慰霊のための「とうろう流し」の継続などの課題と向き合いながら、「星川ルネッサンス」をスローガンに、次世代に向けての新たな熊谷市モデルを構想する拠点としたい。

報告概要 星川彫刻プロムナード研究会発足―星川の彫刻を発信する―

園鍔勝三「花園の歌」を前にした発起人
藤間憲一会長(左から)、増田敏男顧問、
山下祐樹研究員

熊谷市の市街地中心を流れる星川に設置された彫刻群に対する再認識を深めてもらおうと、星川彫刻プロムナード研究会が発足した。
江戸時代中期から染色業などで栄えた星川は、戦前戦後を通じて多くの人々が行き交う生活拠点であり、商工業の交流拠点でもあった。戦後、直線に整備された星川には7つの広場があり、1975年、一番上流にある「いこいの広場」に、近代日本彫刻界を代表する北村西望の「戦災者慰霊の女神」が建立された。熊谷空襲戦災30年事業として平和への祈りが込められている。

研究会結成についての記者会見
(2020年12月3日)

1981年には、「星川に水と緑と芸術を、そしてメルヘンの道に」との構想に基づき、市による彫刻像設置事業が決定した。以降、1985年にかけて国内を代表する彫刻家の名作が次々と建立された。富永直樹「新風」、桜井祐一「レダ」、千野茂「やすらぎ」、園鍔(えんつば)勝三「花園の歌」などの銅像が設置され、「星川彫刻プロムナード」として大きな注目を集めた。
研究会は当時の彫刻建立に関わった元熊谷市長の増田敏男さんや、星川で生まれ育った熊谷市観光協会会長の藤間憲一さんなどを発起人として発足。星川彫刻プロムナードの存在を改めて広く発信することを目的に活動を進めることになった。

星川彫刻の現地解説会(2020年12月25日)
解説者:熊谷市立江南文化財センター山下祐樹 

昨年12月には、発足記念として彫刻の解説資料を作成し、星川周辺の店舗などで配布を始めたほか、12月25日には彫刻プロムナードを散策する現地解説会を開催した。
今後は、熊谷を北村西望の研究拠点とするとともに、戦災慰霊と野外彫刻の歴史研究という観点から、ドイツ・フランクフルト大学社会研究所と共同研究を計画している。解説資料の作成を担当した熊谷市立江南文化財センターの山下祐樹主任(学芸員)は、「研究と啓発を通じて、星川彫刻プロムナードを世界的な文化発信拠点として位置付けられるよう取り組みたい」と意気込む。


研究会では、熊谷商工会議所と熊谷青年会議所、まちなかモール委員会、「星川夜市」実行委員会、立正大学などと連携を図りながら、彫刻芸術を活かした中心地活性化や、戦災者慰霊のための「とうろう流し」の継続などの課題と向き合う予定だ。
また、本年1月から3月にかけて星川の彫刻群を動画で撮影し、映像記録として「熊谷デジタルミュージアム」などで公開するプロジェクトを進めている。星川の歴史と彫刻群を次世代に引き継ぐための取り組みが始まっている。

(報告:熊谷市文化遺産研究会)

■第15回 星川ルネッサンス「星川彫刻プロムナード研究会」の発足のスポット写真

星川彫刻プロムナード位置図
大野百樹 筆
富永直樹「新風」(写真左)
北村西望「戦災者慰霊の女神」
星川ルネッサンス 星川彫刻プロムナード研究会の構想と展望
2020年12月13日 毎日新聞掲載
2020年12月25日 埼玉新聞掲載

■第15回 星川ルネッサンス「星川彫刻プロムナード研究会」の発足の詳細情報

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作成日:2021/02/22 取材記者:哲学・美術史研究者 山下祐樹