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熊谷市文化財日記アネックス

歴史 地域

農業遺産に向けて「池の水ぜんぶ抜く」調査

比企丘陵を中心に古くから受け継がれる米作り「ため池農法」を世界農業遺産に申請しようと、滑川町・熊谷市など8市町やJAなどによって「比企丘陵農業遺産推進協議会」が設立されています。
大きな川がない比企丘陵周辺では、谷間にある「谷津田」と呼ばれる水田で、ため池の水が利用されてきました。こうした自然環境を生かした歴史の中で、水利の調整や沼普請、沼さらいなどの共同作業、農村コミュニティーが形成されてきたと考えられています。地域の文化遺産や歴史などを含む農業遺産としての再認識を深めるために、小江川にある「日向沼」(写真:水抜き後)の水を抜き、生息している魚などの調査が行われました。在来種が多く発見され、自然環境が保たれていたことが分かりました。
その様子がテレビ東京の「池の水ぜんぶ抜く」という番組として収録、2018年1月に放映されました。

■原島古墳群 -実態が不明な古墳群-

八坂神社境内に所在する古墳
(中央、右が神社社殿)

原島古墳群は、原島地区の荒川左岸の自然堤防上に所在する古墳時代後期に造られた古墳群です。すぐ西には、やはり実態が不明な玉井古墳群が所在します。現在3基の古墳の存在が確認されていて、スポーツ・文化村「くまぴあ」を中心に狭い範囲での分布です。
3基の古墳は、各々消滅、墳丘削平の状態で、唯一墳丘の状態が分かる古墳が、くまぴあの南に鎮座する八坂神社の境内北東隅に所在します。現況での規模は、東西8m、南北15.5m、高さ1mほどで、墳丘の南西部が遺存しているものと思われます。全国的に見ると、墳丘上に社を祀ることが多い中、古くから神聖な場所であったこの場所を選んで、墳丘を避けて社が造られたのではないでしょうか。ちなみに、八坂神社は、かつて鬱蒼とした林の中に在り、「天王社」と呼ばれていたことから現在も「天王様」の通称で親しまれていて、本古墳は現在無名ですが、この名を借りて天王塚古墳とも言えますでしょうか。

■江南文化財センター

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住所 熊谷市千代329番地
開館時間 午前9時~午後5時
休館日 土曜日・日曜日・祝日・年末年始
お問合せ 048-536-5062(熊谷市立江南文化財センター)

作成日:2018/06/11 取材記者:江南文化財センター