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熊谷市文化財日記

歴史 地域

彫刻家の系譜2

熊谷市野原 文殊寺

■飯田家に連なる匠

琴を弾く女神(龍女か)

飯田和泉守の供養碑に刻まれた子弟の匠たちの名に「細井平左衛門」があります。彼は熊谷市板井の出身で明治時代に野原八幡神社や文殊寺の鐘楼門を造っています。文殊寺本堂は飯田和泉が差配し、向拝の彫刻を手掛けています。この本堂は昭和10年代に焼失し残ってはいませんが、子弟でそれぞれの建物を競作していたことが窺われます。
細井家には、細部の彫刻まで描かれた神社本殿の絵図が残されています。完成予想図として施主や氏子たちに示した図でしょうか。この図には社名が描かれていないのでいずれの神社かは知れませんが、龍女と思われる女神や、霊亀、鯉魚、龍など池水にかかわる図象が組み合わされることから、水辺に臨む神社とも想像されます。見つけてみたいと思います。

■精緻な彫刻を求め続けた名彫刻師  小林源太郎

源太郎の仕用書

飯田家と共に寺社仏閣の彫刻に秀でた小林家が江戸後期に熊谷市玉井に現れます。初代原八から源太郎、丑五郎、栄次郎、栄吉、義雄、貞雄らが昭和までに排出し、各地で腕を振るい多くの作品を残しています。
特に源太郎は芸術家肌の面があり、40代半ばで家を出て旅先の土地で多くの寺社彫刻を製作しその地で生涯を終えています。手がけた彫刻は新潟県・群馬県に多々所在し、その地域の文化財となっている例もあります。源太郎の手掛けた彫刻は西福寺向拝彫刻(新潟県)石部神社本殿彫刻(新潟県石地町)弥彦神社向拝彫刻(新潟県)榛名神社随神門彫刻(群馬県)などがあり、新潟では当時江戸の名工と言われた石川雲蝶との競作も伝えられます。

源太郎は熊谷の出であることから熊谷源太郎とも呼ばれることが多く、新潟県与板町都野神社に示した見積書に当たる彫物仕様では「武州熊谷宿 彫工 小林源太郎」と署名が見えます。
栄次郎は熊谷うちわ祭りの第一本町区山車彫刻や現在の武蔵国分寺本堂向拝の飛龍、獅子などの彫刻を残しいており、小林家の手がけた彫刻は関東一円に残されているようです。

【参考】
「熊谷人物事典」日下部朝一郎 編  木原 尚 1993 『越後の名匠 石川雲蝶』

■彫刻家の系譜2のスポット写真

琴を弾く女神(龍女か)
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神社仕方絵図 左側面図
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源太郎の仕用書
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秋葉三尺坊奥の院向拝彫刻
(新潟県栃尾市)
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■江南文化財センター

住所 熊谷市千代329番地
開館時間 午前9時~午後5時
休館日 土曜日・日曜日・祝日・年末年始
お問い合わせ 048-536-5062(熊谷市立江南文化財センター)
ホームページ 江南文化センター「熊谷デジタルミュージアム」へはこちらからどうぞ。

作成日:2020/12/21 取材記者:江南文化財センター