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妻沼聖天山界隈

~2019年迄掲載 歴史 地域

第29回 絹にまつわるちょっとした話

間々田稲荷神社の絵馬額

よく見ると1枠の繭が8個。48枠で384個の繭が奉納絵馬として拝殿内に掲額されていました。
「第27回妻沼ゆかりの画人たち」の取材で、今年の1月に間々田稲荷神社格天井画を撮影に訪れた時に、掲額されている絵馬を一緒に撮影しました。
写真は、その中の時の1枚です。繭のサンプルのようなので驚きましたが、養蚕の盛んであった地域の農家の人たちの祈願の形でした。
 *間々田稲荷神社 熊谷市間々田(旧妻沼町男沼地区)
 「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界文化遺産登録のニュースに刺激され、今回記事にしてみました。

■養蚕農家の願い

奉納 男沼第一養蚕組合

1月に訪れた際に、社殿と境内の建物、石碑とを撮影しておきました。写真をチェックしていて、拝殿前の奉納石柱に刻まれた「武州富国館製糸場」と「男沼第一養蚕組合」の文字に気が付き、再度訪れて撮影してきました。

■製糸場と養蚕農家の結びつき

奉納 武州富国館製糸場

富国館製糸場は、明治32年(1899)に深谷町(現深谷市)に設立され、大正時代半ばまで、操業していた県内屈指の製糸工場でした。製糸場と養蚕農家の結びつきを強く感じました。
明治から昭和にかけて、利根川沿いの村々の養蚕農家が繭を育て、鉄道沿線の製糸工場が生糸を生産する農工一体となった地域でした。

■片倉シルク記念館

片倉シルク記念館

お恥ずかしい話。初めて片倉シルク記念館を見学してきました。熊谷で90年以上にわたり操業した製糸場跡地に、片倉工業が設立した製糸の歴史を伝える記念館です。

■忘れてはならない片倉工業の貢献

記念館内部

片倉工業は、今回世界文化遺産登録された富岡製糸場を昭和13年(1938)から昭和62年(1987)まで経営し、操業停止後から平成17年(2005)まで施設の管理を続け、同年富岡市に寄贈しています。この歴史遺産保存の最大の貢献者は、片倉工業なのでしょう。
ところが、明治5年(1872)に設立に関わった尾高惇忠や渋沢栄一にスポットが当たり、片倉工業の貢献は忘れがちです。見学に訪れた際に窓口に置いてあるパンレットいただきました。「富岡製糸場と深谷の偉人たち」で深谷市制作のパンフレットには驚きました。この片倉シルク記念館を持つ熊谷市は、世界文化遺産登録の重要な役割を担ってきたことを忘れてはならないと感じました。

作成日:2014/07/05 取材記者:mhennmi