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学生による取材の様子
特定非営利活動法人日本盲人演劇協会(茂木幹央 代表)は、演劇活動を通して視覚障害者の表現能力の向上を図ると共に、視覚障害者による演劇活動の普及を図ることを目的に活動している法人です。入居者の生活の向上を図るため、平成23年にNPO法人化しました。
設立者である茂木さんは、昭和50年9月の点字新聞で「ああ、悲しい盲老人」という投書を読みました。その内容は、「くる日もくる日も寂しい生活。こんなことなら死んでしまった方がいい。自分の友人もそう言っています」というものだったそうです。当時、埼玉県には盲老人ホームがなく、楽しく過ごせる場所が必要、と考え、まず養護盲老人ホームひとみ園を設立しました。そして、視覚に障害のある方に、もっと人生を楽しんでもらいたいという思いから、学生時代の演劇活動を活かし、法人の運営を始めました。
演劇の活動について、毎週火曜日と木曜日の週2回、午前9時半から10時半まで練習を行っています。セリフを何度も聴き、発声することでセリフを覚えるようです。2〜3ヶ月間の練習を経て、ステージでの発表を行っています。活動中は和気あいあいとしているようです。
今回は、深谷市のひとみ園演劇ホールを訪問し、劇団「ひとみ」による演劇「植物図鑑」を鑑賞させていただきました。
役者さんの動作、間の取り方、声の張り方にメリハリがあり、演技力に感銘を受けました。役者さんは手の触感など、視覚以外の感覚を総動員し、演技を行っているそうです。
歩くところには段ボールが敷設され、役者さんの動線が分かるようになっていました。劇中に出てくるセットも手作りされており、スタッフさんによる様々な工夫が見受けられました。
茂木代表は演劇について人生が豊かになる、心を豊かにしているものだと語っています。
今後の活動の最終目標として、「視覚障害者の生活の一端を理解していただくために多くの人に観てもらいたい。正しく理解して頂ける方を増やすこと、盲人の理解者を増やすこと、それが目標。」と語っていました。取り組んでいきたいものとして、一人演劇をやってみたいと語っていました。
私は以前から見えることを前提にしている社会の在り方や価値観に疑問に感じており、同法人を取材して改めてひしひしと感じました。
感じ方、見え方は人それぞれであり、見えることを前提にしたとらえ方・感覚を変えていく必要があると考えました。
社会とは、できないこと・難しいことをお互いに補い合い、手助けすることで成立していると感じています。
見えない=できない、を直結させることなく、難しいこと・手助けしてほしいことは何か、を考えて行動することが大切だと思いました。
取材中、茂木代表の「心の中に生き生きとしたものがあれば青春と考える、目標、希望、夢があれば人生が変わってゆく」という言葉が印象に残りました。夢を持つことで、自分ももっと自身を表現してみよう、やってみようと思うきっかけ、成長できるきっかけになると思いました。このような機会や場所がもっと増え、社会へと繋がっていってほしいと思います。
法人所在地 | 埼玉県深谷市人見1665番地3 社会福祉法人日本失明者協会内 |
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取材対応者 | 代表理事 茂木 幹央 |
取材記事担当者 | 立正大学社会福祉学部3年 相原 紗織 |
作成日:2023/10/16 取材記者:北部地域振興センター