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第7期NPO総会を終えて

熊谷市市民活動支援センターにて第7期NPO法人くまがやピンクリボンの会総会を無事に終えました。

ぶれない思いを繋いでいきたい。 
支え合う気持ちがつながる元気に! 検診率100%を目指して!


私が乳がんサバイバー(survivor・生存者、経験者)になり6月22日で16年。くまがやピンクリボンの会を立ち上げたのが2008年5月10日。設立から今日(こんにち)で丸14年が経ちました。NPO法人となり7年になります。
理事・運営委員のみなさまが、当会の活動を根本から支え、また、賛助会員の皆さま方のおかげで啓発活動は成り立っています。
昨年度に引き続き、2022年度はコロナ禍で何ができるかと頭を悩ませた1年でもありました。感染防止対策を徹底させながら「できること」を継続して参りました。
弊会の大きな柱のひとつが「がん検診受診率」のアップです。

令和4年12月発表の埼玉県人口動態概況(確定数)によると、埼玉県の死亡原因の第1位が「悪性新生物」であり20,576人が「がん」で命を落としています。昨年よりさらに113人増えています。その中の乳がんで亡くなられた方は926人、前年度は850人でいたから、126人増えています。
(気管及び肺がんは4,061人ですが前年より75人減っています。ですから県全体の死亡増加数のすべてが乳がん患者)
一方、わが町熊谷市では、令和元年乳がん17人・子宮頚がん9人、令和2年乳がん33人・子宮頸がん12人もの女性、熊谷市民が命を落としています。年間では、586人(前年より23人増加)もの市民が「がん」で命を落としている現状を他人事ではなく、自分事として考えてもらいたい。
また昨年12月、AYA支部長の藤井みゆきさん(享年36歳)が天国に召されました。昨年の総会でAYA支部活動の決意表明に熱い想いを語ってくれたことが鮮明に思い浮かびます。誠に無念でなりません。
この60年でがん患者は4倍に増えています。
当たり前のように皆様が知るところとなったがんは「2人に1人」が罹患する、ですが、その分、働くサバイバーが増え続けているのです。
AYA世代はまさに人生のターニングポイントがたくさんある世代です。就職、恋愛、結婚、妊孕性(妊娠)などライフステージ毎に様々な社会問題と向き合わねばなりません。
埼玉県では39歳以下のがん患者823人(令和3年度)、熊谷市では直近5年間で15人の若い世代が命を落としています。
例えば熊谷市の乳がん検診受診率が1%減ると約600人の方が検診を受けなかったことになります。
弊会はがん検診の受診行動への後押し、早期発見早期治療のすすめ、そして、サバイバー支援を継続し、がんで悲しむ家族やみなさんがひとりでも減ることを願ってやみません。

■がん教育・生命の授業

埼玉県初のがん教育「生命の授業」も熊谷市、行田市の委託事業となり10年目を迎えることが出来ました。コロナ禍でありながら授業の必要性をご理解くださり、「学びを止めるな」と、継続を英断くださった両市の教育委員会や保健センターに心から御礼を申し上げます。また、県内では越谷市、嵐山町、川越市、川口市へと拡がりを見せています。「対面式」「オンライン授業」さまざまな形態をとれるようにもなりました。
また3月には、「社会に出る高校生のために贈り物として授業をして欲しい」とのラブコールを頂戴し、埼玉県立坂戸ろう学校で初の授業が実現しました。スタッフは手話通訳者の本澤久美子運営委員から事前に手話を学び、自己紹介することもできました。特別支援学校を含め様々な環境の子どもたちが平等に「がん教育」が受けられるような働きかけも必要だと思っています。
さらに、PTAや企業様向けの「大人のがん教育」にも力を入れていけたらと思います。

埼玉県主催の「がん教育研修会」を受講すると共に、今後も時代に沿った、エビデンスに基づく、がんの正しい知識を学び、真摯に授業に取り組んで参りたいと思います。
小児がんで逝去した大﨑利枝ちゃん、授乳期乳がんで逝去した藤井みゆきさんのメッセージをしっかり伝えていきましょう。

■サバイバー茶話会・がん体験者の集まり

サバイバー茶話会も熊谷市、東松山市、川越市等で定期的に開催し、新型コロナウイルス感染対策を万全に取りながら時間短縮バージョンで開催して参りました。
また、近年、がん治療にともなう患者さんへの経済的な負担「経済毒性」の問題が深刻化しています。
それに対し、どのように捉え、解決していけばよいのか。「がんによる障害年金の受給」など社会保険労務士やFP、ケアマネージャーなどと患者を繋ぎ、それぞれの立場からフォローアップして頂いています。
特にAYA世代では「介護保険適用外」(がん患者は40歳から介護保険が使える)になりターミナルケアへの手厚い看護が、経済ひっ迫に繋がる現状があります。
弊会のピアサポート活動は「行政の隙間を埋めている」のではないかと思います。
ピアサポーターはそれぞれ自己研鑽を積み、「がん哲学外来コーディネーター」や「ピンクリボンアドバイサー」資格を取得するなど努力をこれからも続けていきたいと思います。

■全国的な動き

「インプラント保険適用署名活動」「高濃度乳房告知に向けての要望活動」「女性のがん検診対策に関するヒアリング」。そして、リンパ浮腫ネットワークジャパン(リンネット)による「第4期がん推進基本計画へのリンパ浮腫の要望書」に全国患者会の1つとして連名。昨年年9月、リンネット岩澤玉青代表により厚生労働大臣、厚生労働省健康局長、厚生労働省がん・疾病対策課長などに、送付・提出いたしました。
ほかに、「埼玉乳がん検診検討会」「熊谷市共同参画をすすめる会」「オンコタイプDX検査 保健適用署名活動」、超党派による「乳がん・子宮頸がん検診促進議員連盟」「HPVワクチン推進議員連盟」に当事者として出席しています。
また、横の繋がりとして「NPO法人子育てネットくまがや」様、「認定NPO法人子宮頸がんを考える市民の会」様、「認定NPO法人乳房健康研究会」様、「NPO法人care nation」様に大変お世話になっております。
昨年に引き続き10月の世界的なピンクリボン月間には地元のコミュニティラジオ「FMクマガヤ」にて啓発番組を企画しています。スペシャルゲストをお迎えし明るく楽しく放送して参ります。
こうして地元との強力なつながりができることは本当に光栄です。

■【啓発ライトアップ】

熊谷市の国宝聖天様の貴惣門と平和の塔のピンクリボンライトアップ、熊谷駅北口、熊谷次郎直実公のLEDライトアップは1ヶ月間、行われました。行田市忍城をピンク色に染める啓発ライトアップに多くの県民みなさまが足を運んでくださいました。
昨年度は新たにAYA支部が中心となる川越市の最明寺でのライトアップ啓発イベントが実現できました。
また、個人事業主の社屋(小林歯科医院様、ダスキンまつざき様、ヤクルト様)のライトアップも徐々に増えて参りました。今後はさらに個人宅でのライトアップも大歓迎していきたいと思います。
イベントの成功にはひとり一人の熱い気持ちが必要です。
どうかたくさんの市民県民が本年10月、熊谷、川越の地に足を運んでくださるように努力しましょう。

本日お揃いの皆さんは弊会の要です。
医療は日進月歩です。医療情報に関わる私たちは常に正しい知識も持たねばなりません。学会等、研修に進んで参加し、「乳がん」ついて最低限の知識を共有し、正しい情報提供に結び付けていくことが必要です。そのためには、私たち自身がヘルスリテラシーを高めていくこと必須となります。
運営委員の自己啓発により力を入れていきたいと思います。
と同時にアンコンシャスバイアス(無意識の根拠のない思いこみや偏見)など日常にあふれ、誰にでもあるものを、しっかり意識しながらスタッフ一同、前を向いて歩いてまいります。
「やればできる」、そう信じています。
ありがたいことに活動の幅が拡がりつつありますが、「初心忘るべからず」、なぜこの会を立ち上げたのか、何のために私たちは活動をしているのか、そして、これから当会がやるべきことを見極めながら、地道に限りなき前進をしていきたいと思います。
そして、様々なご縁を頂きありがたい限りですが、奢ることなく、常に謙虚でありたいと思います。
先に逝ってしまった16人の仲間たちがきっと見守ってくれていると思います。
彼女たちと同じ悲しみを繰り返さないためにピンクリボンの意味を知っていただくこの活動がどうか末永く続いていきますように願ってやみません。
埼玉が生んだ詩人・宮澤章二の『行為の意味』から抜粋したフレーズ「こころ」は だれにも見えないけれど 「こころづかい」は見える
「思い」は 見えないけれど 「思いやり」は だれにでも見えるこれからもどうぞよろしくお願い致します。
長くなりましたが、以上、代表あいさつとさせて頂きます。
ありがとうございました。

2023年5月27日 NPO法人くまがやピンクリボンの会
代表理事 栗 原 和 江

■第7期NPO総会を終えてのスポット写真

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啓発ライトアップ
熊谷駅前 熊谷次郎直実像
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啓発ライトアップ 妻沼聖天山 喜惣門
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啓発ライトアップ 忍城(行田市)
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■第7期NPO総会を終えての詳細情報

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作成日:2023/07/20 取材記者:NPO法人くまがやピンクリボンの会