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文章:黒田 房邦(日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医)
室温の急激な温度変化によって、血圧が急激に上昇・下降したり、脈が早くなったりする等によって起こる健康被害のことで、失神したり、心筋梗塞や不整脈、脳梗塞を起こすことがあり、特に冬場に多く見られ、高齢者に多いのが特徴です。
東京都健康長寿医療センターの研究によれば、2011年の 1年間で約17,000人もの人々がヒートショックに関連した入浴中急死 をしたと推計され、その死亡者数は交通事故による死亡者数(4611人)をはるかに上回る。温熱環境を重要視する建築人の間では「真冬の低断熱住宅は外よりも危険」とも言われているそうです。
◆ 入浴時には特に注意
ヒートショックは体全体が露出する入浴時に多く発生します。冬場の入浴では、暖かい居間から暖房をしていない寒い風呂場に移動するため、脱衣室で衣服を脱ぐと、急激に体表面全体の温度が 10 度程度下がり、体は熱を奪われまいとして血管が収縮し血圧が急激に上がります。一度急上昇した血圧は、お湯に浸かって血管が拡張すると、反対に急激に低下します。この急激な血圧低下が失神を起こす原因の一つとなり、浴槽内で失神する事により、溺れて亡くなるのが入浴中急死の典型例です。
外気温が低くなる1月は、入浴中に心肺機能停止となる人が、最も少ない8月のおよそ11倍であり、このように増加する原因は、ヒートショックによるものといえます。
また、血圧の急激な変動は心臓に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中を起こす原因の 一つと言われています。
寒いトイレ・玄関でも似たようなことが起こりえます。
寒い季節、脱衣所や浴室を温かくすることで、ヒートショックは予防できます。 また、トイレも体を露出させる場所なので温かく保つことが効果的です。
脱衣所や浴室、トイレへの暖房器具設置や断熱改修
冷え込みやすい脱衣所や浴室、トイレを暖房器具で温めることは、効果的なヒートショック対策の 一つです。また併せて、窓まわりは熱が逃げやすい為、内窓を設置するなどの断熱改修で、外気温の影響を最小限に抑えることができます。
ヒートショックを防ぐ冬の平均温度差は3~5℃以内が望ましいと言われています、国土交通省でも暖房居室と非暖房居室の温度差は5℃以内、廊下とトイレの温度差は3℃以内であることを推奨しています。
また、室温は血圧上昇が10㎜Hg以下であれば、高齢者でも安心ということから、廊下や浴室・トイレなど非居室で17℃を安心レベルとしています。
居室の温度は20~21℃、湿度は40~60%が推奨されています。
また、近畿大学建築学部の岩前篤先生が調べたイギリスのHousing Health & Safety Rating System では「過度な寒さ」のリスクの中で健康な温度は21℃とされています。
ヒートショックを防ぐこれらの条件を満たす快適な温度環境の家にするためには、家の構造を保温性の高いものにして、外気温の影響を受けにくくすることが最も有効な対策といえます(高気密・高断熱住宅)。外気温の影響を受けにくいと、家全体がひとつの部屋のようなオープンな生活が可能です。温度のバリアフリーの生活で、ヒートショックを未然に防ぐことができます。
この高断熱・高気密住宅(高性能住宅)ほど、換気は重要となってきます、24時間換気 が理想的です。また、従来の冷暖房では「汚れた空気も室内を循環してしまう」欠点がありましたが、それを改善進化させた熱交換によって温度変化を抑制できる『第一種換気』(空調一体型の換気システム)などを利用すれば、新鮮な外気を取り入れながら、家全体が快適温度に保てます。
更に高性能住宅では、家全体の保温力も高くなるため一度調整された室温を長時間維持させることが可能となるため、省エネルギーにも貢献できます。
健康に配慮しながら環境にもやさしいのが、高性能住宅なのです。
高性能住宅の家づくり、断熱改修(家の中の温度のバリアフリー)をしてヒートショックにならない様にしましょう!
1.冬場の住居内の温度管理と健康について
東京都健康長寿医療センター
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作成日:2021/12/14 取材記者:大和屋株式会社 住宅部