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パッシブハウスとは?

パッシブハウスとは、23年前にドイツのパッシブハウス研究所が開発した省エネ住宅の設計メゾットで、曖昧な「高気密・高断熱」という概念に明確な基準を示しています。
数値的には以下のような基準が設定されます。

① 年間冷暖房負荷15kWh/㎡以下
② 年間1次エネルギー量120kWh/㎡以下
③ C値0.2㎠/㎡以下 50パスカル加圧時に漏気回数0.6回以下

>>もっと詳しくパッシブハウスを知りたい方はこちら

■温度差のない家を作る

パッシブハウスとは、エネルギーを使わない家づくりを目指す、環境先進国ドイツの建築基準です。
この基準を満たした家は、冷暖房をほとんど必要とせず、快適な室温を保つことができます。
本物の省エネ住宅であるパッシブハウスは、これからの住まいのスタンダード。パッシブハウスでは、次のような家が可能になります。

森の家 屋根断熱施工

① 年間冷暖房負荷15kWh/㎡以下
年間冷暖房負荷15kWh/㎡以下の基準を達成するためには、家が建つ場所の環境に対して、夏と冬それぞれ設定した室内温度の下、熱の損失を基準値以下にすることでクリアできます。
この基準によって得られる効率は、冷暖房エネルギーの使用量の削減と家の中の温度差の軽減になり、住まい心地や快適性に大きく影響します。
熊谷市周辺の地域で計算すると、断熱材にグラスウール24㎏/㎡を入れる場合は、壁、天井共に30cm位が目安になってきます。窓は樹脂製でトリプルガラス、換気による熱損失を少なくするために熱交換型の換気設備は必需品になってきます。
数値の計算上、室内の容積に対して床面積が広いほうが有利な数値が出てくるため、天井を低くし、床のすぐ下で断熱をするほうが数値はよくなる傾向です。

太陽熱温水器

② 年間1次エネルギー量120kWh/㎡以下
年間1次エネルギー量120kWh/㎡以下の基準は、冷暖房の他、照明や給湯、調理、換気、更に家電といった家の中のあらゆるエネルギー消費が対象になります。
電気の1次エネルギーとは発電所で使われる石油やガス、ウランなどの資源消費量と家庭など電気の最終使用場所の効率を加味して計算します。これをPEFと表します。
PEFとは、Primary Energy Factorの略で「1次エネルギー ÷ 2次エネルギー」で表します。このPEFが小さいほど、そのエネルギーがエコかどうかわかります。
日本はこのPEFを2.71に定めています(原子力発電の稼働が少なくなっているため本当はもっと高いとの意見もあります)。
PEFは他のエネルギーにも設定されておりガスは1.1、薪など木質バイオマスは0.2、太陽光パネルは0.0、と定められていますので、②の1次エネルギー消費量の軽減に有効な方法は、太陽光発電ということになります。
また、家庭のエネルギー消費の比率が比較的高い給湯は、太陽熱温水器の設置で給湯エネルギーを軽減できるのでこれも有効です。
創エネと省エネを組み合わせて②の1次エネルギー消費量をクリアしていくことがセオリーです。

③ C値0.2㎠/㎡以下 50パスカル加圧時に漏気回数0.6回以下
C値0.2㎠/㎡以下 50パスカル加圧時に漏気回数0.6回以下の漏気回数については「隙間相当面積 C値」という値があります。
C値とは、建物の床面積1㎡当たらいの隙間面積を表す値で、小さいほどに気密性が高いことになります。
例えば、床面積100㎡の家で、C値が1.0の場合、建物全体の隙間を集めると100㎠(正方形10×10㎝相当)あるという意味です。

パッシブハウスの基準では0.2㎠/㎡以下となっています。これは日本の基準から考えればかなり厳しい基準といってよいと思います。
C値を良くする理由は、熱の損失の低減のほかにも、壁内結露防止による家の耐久性向上、空気のショートカットを無くし計画換気による適切な空気の流れの実現があげられます。

■パッシブハウスを設計する手順

① 敷地の方位、日射を遮る周辺の建物等のチェックを行い、家の向きを決めます。
② 家の大きさや間取りを加味し、冬の日射を入れる窓の位置や庇、軒など夏の日射を避けるための部材の
 設定を行います。
③ 気象データから夏や冬の気温を入力し、冷暖房負荷が基準をクリアできるように、窓や断熱材を選定
 します。
④ 一次エネルギー消費量の基準をクリアするために、冷暖房、調理器具、照明、換気、創エネ設備機器の
 選定をおこないます。
⑤ 施工時に、C値の基準をクリアできるように施工チェックを行い、気密測定を行い確認します。

■森の家

北欧展示場

森の家では、可能な限り自然のエネルギーの活用を考えた設計をしております。その為冬は窓から太陽熱を取り入れ、日射取得量を増やす。
夏は窓から熱を取り入れないように窓の日射透過率を下げるよう工夫します。
室内の温度変化を極限まで小さく出来るように建物の熱容量を増やし室内の温度変化の軽減を図っています。数値優先で考えれば、天井を低くし、家を小さくしたほうが有利に数値は出てきますが、実際に暮らす事を考えた時に、大きな空間でゆったりとお過ごしいただき、さらに家の熱容量が大きい方が常時快適に過ごせる事につながると経験上考えております。

使用する窓や断熱材は1棟毎に計算させていただいて、お客様にご提案させていただきます。同じパッシブハウスでも立地条件が変われば、断熱材は種類や量が違うことになります。その際には、断熱材の構成ごとに定常計算、非定常計算を行い壁内結露発生を確認しています。

パッシブハウスレベルの断熱の家になってくるとエネルギーの需要として、冷房や暖房に使われるエネルギーはグッと少なくなって、給湯に使用されるエネルギーの比率が家の消費エネルギーの50%以上になってきます。これに対して太陽熱温水器の設置を推奨しております。
これにより一次エネルギー消費量は80kWh/㎡を下回ってきます。
さらに上質な快適性を実現するために、冷気を家の上方から供給する小屋裏エアコンの設置、足元から暖めるヒートポンプを使用した床下放熱器の設置のご提案をさせて頂いております。
ドイツのパッシブハウスと比較するとまだまだ見習うところは少なくありませんが、エネルギーを使わずに、より快適に過ごせる森の家を実現していきます。

■パッシブハウスとは?のスポット写真

北欧展示場
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■森の家展示場

お問い合わせ 森の家展示場
TEL : 048-527-8181
Mail : morinoie@morinoie.info
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・『冬は温かく、夏は涼しいパッシブハウス』についてはこちらからどうぞ

作成日:2022/04/13 取材記者:大和屋株式会社 住宅部