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熊谷市文化財日記アネックス

歴史 地域

仏像の美 ~熊谷の歴史を語る仏像~ Vol.3

いぼとり地蔵尊(熊谷市指定有形民俗文化財) ・・・正福寺

沼黒正福寺に安置されている地蔵で、江戸前期の作とされています。表面が金色に輝き、円形の後輪と共に偉容を表現しています。「いぼ」を取るという願いを込めて参拝すると御利益があるとの言い伝えから、江戸時代の後半には関東一円からの参拝者がありました。毎年10月23日、1月23日が縁日となっています。

【正福寺】所在地:熊谷市沼黒779
【文化財指定日】1979年5月14日

寳幢寺阿弥陀如来像(熊谷市指定有形文化財) ・・・寳幢寺

制作年・制作者などは銘文等が確認されていないので不明ですが、その様相から鎌倉から室町時代に制作されたものと考えられています。像高76.0cm、やや面長で端正な目鼻立ち、衣の衣紋線は彫りが深く、男性的な印象を受けます。一部金箔を残し、制作当時をうかがうことができます。手には薬壺を持ちますが、これは後補と考えられています。

【寳幢寺】所在地:熊谷市押切134
【文化財指定日】1997年1月20日
≫熊谷デジタルミュージアム「寳幢寺阿弥陀如来像」はこちら

銅造阿弥陀如来立像(熊谷市指定有形文化財) ・・・常永寺

像高30.5㎝、台座の高さ9.4㎝。丁寧かつ堅実な仕上がりの像で、製作期は14世紀前半までさかのぼる可能性があります。台座は江戸時代の後補で、框座側面に銘文が陰刻されています。

【常永寺】所在地:熊谷市小泉17
【文化財指定日】2006年2月28日

旧観音寺地蔵(熊谷市指定有形文化財) ・・・真光寺

本地蔵は、旧観音寺境内跡地に所在していましたが、その後、真光寺にて安置されています。全姿丸彫で、右手に錫杖、左手に宝珠を持っています。台座には石工の銘文が刻まれ、松井清兵衛清昌と示されている。当人は18世紀前半に現在の熊谷市宮町付近に住んでいた石工で、石工自ら、自分の作品に名を刻む事は非常に稀である。
総高 207cm、身高 98cm、身幅 32cm、身厚 24.5cm

【真光寺】所在地:熊谷市樋春297
【文化財指定日】1997年1月20日
≫熊谷デジタルミュージアム「旧観音寺地蔵」はこちら

寛政銘双体道祖神像(市指定有形文化財) ・・・押切区

道祖神は日本古来の邪悪をさえぎる塞神と中国古来の道祖神信仰が合わさったもので、道陸神(どうろくじん)やサイノカミと呼ばれ、村境や峠、辻、橋のたもとにたって、外から入ってくる疫病・悪霊のたぐいを防ぎ、村人を守ってきた歴史があります。本道祖神は、ドウロクジンサマと呼ばれており、足の神様としての信仰がみられ、足の病気になると大きなわらじをつくって奉納するとの伝承があります。銘文には、「大里郡上押切 施主 村中 寛政十年八月十一日 願主 慧昌」と刻まれています。
全高 76cm、全幅 27.5cm

【押切区】所在地:熊谷市押切700
【文化財指定日】1997年1月20日
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享保銘波乗弁財天像(市指定有形文化財)  ・・・押切区

市指定有形文化財の「波乗弁財天像」は、荒川に架かる押切橋南側の押切地区に所在する石仏です。この押切という地名は、川の水が土手を押し切ったことから名付けられ、この地区が度々洪水見舞われたことを物語っています。また、周辺には荒川から取水した御正用水が流れ、荒川南岸の農業などに利用されています。
弁財天は、インダス川支流の五つの川が流れる肥沃な農耕地帯の河神(かしん)として尊ばれた女神を発祥とし、農業神や音楽の神などに転じながら、七福神の一つに加えられています。日本においては、古くから水運の安全や水害防除を祈願して水辺や川の付近に弁財天像が祀られてきました。

「波乗弁財天像」の造立年は、銘文から享保12年(1727年)ということが分かっています。波頭(はとう)に出現する弁財天の様子が、荒れる川の波に乗っているように見えることからこの名称が付けられています。石造りの弁財天像は類例が少なく、貴重な歴史資料であると言えます。




この波乗弁財天像は半浮彫りと呼ばれる技法により彫られ、穏やかな笑みを浮かべているように見えます。この像は手が八本ある八臂像(はっぴぞう)と呼ばれ、左手第一手から宝珠、輪宝、弓、財宝を表す蔵の鉤、右手第一手から宝剣、三叉戟(さんさげき)と呼ばれる先端が三つに分かれた矛、宝棒、縄を持っています。また、頭上には鳥居や蛇神が刻まれ、その上に日輪、月輪が配されています。太陽や月の持つ恩恵により、村人の五穀豊穣の願いが込められているものと考えられます。
全高 96cm、全幅 38cm、波頭・輪宝等に赤彩

【押切区】所在地:熊谷市押切1076
【文化財指定日】1997年1月20日
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■仏像の美 ~熊谷の歴史を語る仏像~ Vol.3の詳細情報

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作成日:2017/03/24 取材記者:江南文化財センター