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熊谷市文化財日記

歴史 地域

仏像の美 ~熊谷の歴史を語る仏像~ Vol.1

愛染明王(熊谷市指定有形民俗文化財) ・・・宝乗院愛染堂

本像は、宝乗院愛染堂(熊谷市下川上)の本尊として伝来したもので、大同元年(806年)、日本一木三体の一体(その他、陸奥国、筑紫国)として造立されたとの伝統が語り継がれている。像高は、髪際高(髪際までの高さ)で約三尺六寸(1.09メートル)を計り、像高1.50メートルを誇る。台座と合わせると、半丈六(2.42メートル)を越える大きさとなる。
この種の大型の愛染明王像としては、東京五島美術館所蔵の愛染明王像(像高1.03メートル:鎌倉時代)や鎌倉覚園寺所蔵の愛染明王像(像高1.08メートル:南北朝時代)などがあるが、本像はそれより一回りも大きく、大きさの点では、全国的にも類稀な例である。
造立の年代については、彫刻の様式からすると、伝承とは異なるが、江戸時代前期の造立と解釈しておくことが妥当と思われる。おそらく江戸の秀逸なる仏師の手によるものと推察できる。

仏像の細部に目を向けると、三目六臂の仏相であり、表面の赤色は実在の日光の輝きを示している。三目の怒相は三界(宇宙)の邪悪を払う形相を示している。六臂の中において左の上手の拳は、願望を成就することを、右の上手に蓮華を持つのは汚れを払い円満をもたらすことを意味している。右の中手には五鈷杵(ごこしょう)と、左の中手には金剛鈴を持っており、これらは衆生からの救済を願う形仏相である。左の下手には金剛弓、右の下手には金剛箭(こんごうや)を持ち、これは煩悩などを払い、悲観厭世の妄心を射抜くことを示している。毛髪の逆立相は魔縁降伏の相を示し、頂に獅子冠は、七曜の吉凶逆転を予期させるものである。
本像は、近世仏像彫刻の優れた作例の一つであるといった美術的価値をもつとともに、染色業者による愛染信仰の本尊としての歴史的、民俗的資料価値を有している。

愛染明王は、サンスクリット語では「ラーガ」、「ラーガラージャ」、「マハーラーガ」と称せられている。「ラーガ」とは赤を意味し、愛欲に例えられている古代インドの神の名である。 ラーガの当初の意味は、染付け、着色であり、それが転用し愛着や執着の意味をも持つようになった。 ラーガは、色の中に置いても赤色を示すことが多く、このことが、愛染明王像の身体の色が赤く着色されていることと関係があるように思われる。また、日輪を表す円形をしている光背においても、赤色となっている。

【宝乗院愛染堂】所在地:熊谷市下川上28
≫熊谷デジタルミュージアム「愛染明王」はこちらから

木彫大仏坐像―平戸の大ぼとけ―(熊谷市指定有形文化財) ・・・源宗寺

「平戸の大ぼとけ」として古くから知られている木彫の座像です。千日堂に安置され、高さ4m余の薬師如来と観音菩薩の2体で、江戸時代の作です。
2体の像の胎内にあった秘伝書によって調剤した馬の病気と疝気(腰・腹の痛む病気)の薬は「平戸の妙薬」として有名となり、訪れる人が絶えなかったということです。

【源宗寺】所在地:平戸611
≫熊谷デジタルミュージアム「木彫大仏坐像」はこちらから

木彫阿弥陀如来坐像 ・・・泰蔵院

泰蔵院が有する鎌倉時代末期の作の仏像で、1.06mの木彫座像で、上品下生の印を結んでいます。光背は円輪の中に蓮華を配したものです。衣はひだの流れも整って美しく、豊満な頬、肩の張もどっしりとして、市内の仏像のすぐれたものの1つです。
高さ60cmの蓮華座の上に高さ160㎝の坐像があり、衣は朱色体で、表面は落ち着いた金色となっています。顔の高さ19㎝、肩幅60cm、肱張64㎝、膝幅82㎝、膝高17㎝、蓮華座中最下部框座(かまちざ)に円形、その上に荷葉が反花の形状をしています。円論の中に蓮華を配した光背は、後に補われたものであると考えられています。

【泰蔵院】所在地:上之535
≫熊谷デジタルミュージアム「木彫阿弥陀如来坐像」はこちらから

金銅大日如来坐像 ・・・西別府観音堂

江戸時代初期の作と考えられ、右肩をあらわした形で、像の高さ117㎝の金銅製の大日如来座像です。金剛界(智の世界)を示す智拳印を結んでいます。
大日如来は密教の根本本尊であり、もとは天台宗清滝院の本尊でしたが、明治初年廃寺となり、現在西別府の観音堂に安置されています。

【西別府観音堂】所在地:熊谷市下増田

三十三体観音像(市指定有形文化財) ・・・大龍寺

宝積山白道院大龍寺は、慶長10年(1605)、徳川二代将軍秀忠公の帰依厚かった幡随意上人が創建したと伝えられる浄土宗の名刹である。三十三体観音像は、境内観音堂に安置してあったが、現在は本堂右側に安置し、作者不詳、製作年代は江戸初期と推定せられる。各佛体共相好極めて円満、彫刻技術も江戸時代としては、代表的傑作仏像である。三十三体像共総丈76cmである。江戸時代庶民は西国、秩父、坂東などの三十三観音霊場巡拝が出来なかった人のために三十三観音を祀り衆生を救おうとしたことから始まったと思われ、当時庶民の観音信仰が盛んであったことが偲ばれる。

【大龍寺】所在地:熊谷市葛和田898

蔵王権現像(市指定有形文化財)  ・・・曽登神社

役(えん)の行者は、奈良時代の山岳呪術者で、修験道の祖、本名を役小角(えんのおづの)という。大和国葛城山に住んで仏教(密教)を修行し、吉野の金峰山、大峰などを開いた。
行者は魔障降伏の祈願を立てて、金峰山に一千日山籠りをし、遂に降魔忿怒の相をした蔵王権現を感得したと伝えられる。像は桧材、寄木造り、高さ40cm、胴まわり16cm、岩座22cmで、右手に三鈷を握り、左手は広げて腰を押さえ、左手を上げた形をしている。室町初期の運慶系仏師の作と推定される。明治41年、白山神社に合祀されたが、里人の要請により現在地の蔵王殿に移された。

【曽登神社】所在地:熊谷市妻沼台1250-2
※拝観御希望の方は、江南文化財センターまでご連絡ください。

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作成日:2017/02/21 取材記者:江南文化財センター