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新潟の旅 -熊谷の名工の足跡を辿る- No.1 雲蝶と源太郎

西福寺開山堂の仁王像を彫り上げる石川雲蝶の像

江戸時代後期から明治にかけて活躍した彫刻師の一人に、石川雲蝶という人物がいます。雲蝶は文化11年(1814)、江戸雑司ヶ谷(現東京都豊島区)に生まれ、越後(新潟県)に多くの作品を残しています。雲蝶の作品は、芸術性に優れ、木彫のみならず、絵画、石彫、漆喰細工と多岐にわたることから、「越後のミケランジェロ」あるいは「日本のミケランジェロ」とも称されています。
そんな雲蝶と同時代に活躍したのが武州熊谷(現埼玉県熊谷市)出身の小林源太郎です。源太郎は、初代小林源八を継いだ二代目で、父の源八は国宝・歓喜院聖天堂の彫刻を手掛けたとされる石原吟八郎を継いだ2代目石原吟八に師事しています。源太郎は、寛政11年(1799)に熊谷市玉井村に生まれ、弘化2年(1845)に越後へ旅立ち、以後、雲蝶と共に多くの作品を残しています。神社仏閣の彫刻に秀で、特に子持ちの竜や中国の物語による人物像を得意としました。
雲蝶、源太郎ともに、文書等による資料は極めて少なく棟札や彫刻にその名を残すのみですが、二人の作品が現存するところでは、その人柄や生い立ちが語り伝えられています。
真偽は定かではありませんが、二人は一緒に越後入りしたという説もあります。二人は三国峠の権現堂で金剛力士像の彫り比べをし、互いにその腕を認め合い、共に越後へ向かったといいます。
今回の旅は、熊谷の名工・小林源太郎の作品に焦点を当て、源太郎の越後での足跡を辿ります。しばしお付き合いいただければ幸いです。

■参考文献

・木原尚 2010 『新装版 越後の名匠 石川雲蝶 足跡と作品を訪ねて』
・小出町教育委員会 1996 『小出町史 上巻(序説・原始・古代・中世・近世・民俗)』
・三条市史編集委員会 1981 『三条市史 資料編第一巻考古・文化』
・阿部修治 2020 『甦る「聖天山本殿」と上州彫物師たちの足跡』
・日下部朝一郎 1982 『熊谷人物辞典』

■江南文化財センター

住所 熊谷市千代329番地
開館時間 午前9時~午後5時
休館日 土曜日・日曜日・祝日・年末年始
お問い合わせ 048-536-5062(熊谷市立江南文化財センター)
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作成日:2023/02/02 取材記者:江南文化財センター