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ガラス工房便り

アート 趣味

第6回 作品紹介「ガラスのシーリングスタンプ」

ご注文をいただきました。
「机の上に飾れる印鑑で、モダンデザインではなく、発掘品のような古色蒼然としたものを。あとはおまかせします」と言われても……さて、どうしたものか? 
以前、猫の形をした小さな印鑑を作ったことがあります。お世話になった知人への贈り物として、玄関に飾っておいて、宅配便の受取りの際に使ってもらえたらと考え、急遽、制作したもの。なのでガラスで印鑑は作れます。ただ今回はテーブルアクセサリーという依頼。ある程度の大きさが必要で、となると版面を下にするデザインは制約が大きい。
どういうデザインにしたらいいのか、ああ〜、なんてやっかいな注文を請けてしまったんだろう。
とはいえ、やっかいでない仕事というのはないんですが。

アイデアというのは、いくら頭をしぼっても出てこないのに、ふいにやってくることがあります。電車の中とか信号待ちをしているときとか。このときはエジプト旅行で見た「ホルス神」が思い浮かびました。
あの冠の部分を印面にしたらどうか。さっそく資料をかき集めて、イメージをふくらませ、物語も想像してみました。
それはこんな話。
「このホルス像はナポレオンのエジプト遠征に随行した美術家のヴィヴィアン・ドノンが、1798 年ルクソールの古びた家屋で発見したもの(スケッチが残っている)。素材は石かと見られたが、ガラス製であり、施された鍍金は純金であることも分かった。もしやこれはクレオパトラがカエサルに送ったという伝説のホルス像だろうか……。しかし、フランスに持ち帰るその旅上で、この像は姿を消した。盗まれ てしまったのか? その後、消息不明だったホルス像がいま忽然と姿を現した!」と、こんなことを妄想しながら、粘土で原型を作っていく作業は、技術的な問題はあるにせよ、精神的負担はずっと軽くなって楽しい時間になります。

古色をつけるには、純金を油に溶かした金液を塗り、電気炉で焼き付けた後、金ブラシで擦り落とすという方法を用いました。光の透け具合がもうひとつ思い通りにはならなかったものの、古色蒼然という要望には応えられたと思います。なお、印面は「傳」の古代文字で、シーリングスタンプとして使うのだそうです。

■第6回 作品紹介「ガラスのシーリングスタンプ」のスポット写真

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作成日:2021/10/28 取材記者:各務ガラス工房/各務ひとみ