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作品サイズ:H1100mm/W230mm/D24mm リビングと玄関の壁面へ設置。
月をモチーフに抽象的なイメージでパネルを作ってください。というのが施主様からのリクエスト。
いつものようにあれこれ考えを巡らして、これだ!と思いついたのが、万葉集の柿本人麻呂のこちらの歌です。
「天(あめ)の海に雲の波立ち月の舟星の林に漕(こぎ)隠(かく)る見ゆ」
星の林に見え隠れする月の舟、背景に七夕伝説もうかがわせ、メルヘンチックでロマンチック。
大岡信さんの『私の万葉集』では「天を海に、雲をその海に立つ波にたとえ、三日月の舟がそこを滑って星の林に漕ぎ隠れてゆくさまを詠んでいます。 日本の古代詩歌で、夜の天空というものをこれほど大らかな把握の叙景歌として描写した作品は、他に見出しえません」と解説されていました。ついでにピーター・マクミランさんの英訳も見つけたので、ご紹介しておきます。
Cloud waves rise in the sea of heaven. The moon is a boat that rows till it hides in a forest of stars.
これでタイトルは決まりました。 「月の舟」。とは言っても、人麿の歌を “ 絵画化 ” するわけではありません。歌はいわば足がかりで、この歌の持つ情緒、雰囲気、気分をもとにして考えを発展させていきます。清涼感があって、気品高いデザインというのがめざした方向です。技法としては、金箔とプラチナ箔をサンドイッチしたガラスバーツを大量につくり、切断と研磨によって長さと厚みを調整し、光と影のグラデーションが生まれるよう変化をつけながらパーツ を並べていきました。ガラスに光があたると、金と白金から上品な輝きが生まれます。わが恩師はなかなか褒めてくれないのですが、この作品は「いいね!」と言っていただけました。
住所 電話番号 / Fax 営業時間 定休日 駐車場 |
〒360-0031 埼玉県熊谷市末広2-7 048‐522‐6192 10:00~18:00 火曜日 工房前に2台 |
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作成日:2022/10/20 取材記者:各務ガラス工房/各務ひとみ