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佐野掛地(佐野日大短期大学「佐野学」講座で撮影)
「佐野掛地」?
栃木県佐野市は際物(人形・幟・破魔弓・羽子板など)の産地です。現在も伝統工芸品として、「佐野衣装着雛・佐野節句かけ軸」が作られています。
佐野掛地は、佐野地方の際物職人により、明治時代に初正月用の掛軸として世に送り出され、多くの人々に愛されました。当時、その掛軸は「掛地(かけじ)」と呼ばれていました。
大量生産された安価なものですが、武者幟や羽子板の古式の絵柄を踏まえ、武者や藤娘など親しみある絵柄が描かれ、初正月や初節句の祝いの席を彩ってきました。
しかし、今は掛地を贈り合う風習は著しく衰退し、佐野地方での掛地製作は激減し、人々の関心も薄れてきました。また、安価の掛軸でしたから、保存されているものも少なく、掛地そのものが忘れられようとしています。
地元佐野市民の方々でも「佐野掛地」をご存知の方は少なくなっていることでしょう。
今回は、「佐野掛地」の紹介と閑馬の風アート館の第2回企画展で「佐野掛地」を取り上げましたので、そのご案内です。
現在の佐野市は「佐野ラーメン」とゆるキャラ「さのまる」で有名ですが、1000年の歴史を持つ街です。現在でもその歴史を伝える天明鋳物が生産されています。
江戸時代、日光東照宮造営に携わった職人が佐野に居住し、雛人形作りが始まり、際物(人形・幟・破魔弓・羽子板など)の産地となりました。
子どもが生まれた家にその子の誕生を祝い、つつがない成長を願って贈られる雛人形や鯉幟などと同じような目的で、誕生した子の初正月、初節句に贈られる掛軸でした。
大正時代には、生産される際物の主力商品になり、関東一円に出荷されていました。
最初のころは、絵師や修練した画工が全て肉筆で絵を描いていたようです。初正月や初節句に贈答する風習が広まり、需要が高まると、中心となる人物や動物の輪郭を用紙に、薄い墨色で印刷(時代により印刷方法は変化。木版→石版→オフセット印刷)し、それをもとに肉筆で線や彩色を施して作られました。
・初正月用掛地 男児向け、女児向け
・初節句用掛地 端午の節句、雛の節句
藤田好三氏は、栃木県壬生町在住。佐野掛地を骨董市などで探し、その収集歴40年以上です。
著書「佐野掛地祝い絵図鑑」は、第21回日本自費出版文化賞の地域文化部門賞を受賞。
令和元年6月開催の佐野日大短期大学主催の「佐野学」講座で講師を勤めています。
令和元年11月に佐野市閑馬町の古民家を使用し、ギャラリーを開設。第1回開館記念企画展を開催しました。
第2回企画展は、藤田好三氏の協力の下に、「佐野掛地の魅力・下野とちぎの民画」と題し、1月12日から開催します。
是非、お出掛けください。
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・主 催:閑馬の風アート館
・会 期:令和2年1月12日~25日(15・22休)
1月19日(日)藤田好三氏来館 懇談会10:00~14:00
・会 場:閑馬の風アート館 佐野市閑馬町2163
・入場料:無料
住所 | 〒327-0321 栃木県佐野市閑馬町2163 |
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電話番号 | 050-1350-2494 080-1207-7971(携帯電話) |
kanma.kaze@gmail.com ※迷惑メール防止のため、@を全角で入力してあります。 半角に変更してご利用ください。 |
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関連記事 | 閑馬の風アート館についてはこちらからどうぞ。 (R407/R293 往来記 第6回記事) |
作成日:2020/01/08 取材記者:風神雷神荘主人